ファクタリングの仕組みは、ひとことで言えば「入金待ちの売掛金を、ファクタリング会社に売って先に現金にする」ことです。
ただ、実際にお金と債権がどう動くのか、誰が誰に払うのか、なぜ借入ではないのかが分からないまま契約すると、手数料の意味も、契約書で確認すべき点も見えません。
このページでは、ファクタリングの仕組みを「お金と債権の動き」で整理し、2社間と3社間それぞれの流れ、手数料が決まる仕組み、法律上の位置づけ、仕組みを悪用した偽装ファクタリングの見分け方をまとめました。
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ファクタリングの基本の仕組み:売掛債権を売って先に現金を受け取る
取引先に商品やサービスを納めて請求書を出すと、入金日まで「お金を受け取る権利(売掛債権)」が手元に残ります。
ファクタリングは、この権利をファクタリング会社に売る取引です。
| 動くもの | どこからどこへ | いつ |
|---|---|---|
| 売掛債権(お金を受け取る権利) | 利用者 → ファクタリング会社 | 契約時 |
| 買取代金(額面−手数料) | ファクタリング会社 → 利用者 | 契約後すぐ(最短即日) |
| 売掛金(額面) | 売掛先 → ファクタリング会社(3社間は直接、2社間は利用者を経由) | 本来の入金日 |
金融庁はファクタリングを「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」であり「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています。
お金を借りて返すのではなく、権利を売って代金を受け取るので、貸借対照表の負債は増えず、返済という概念もありません。

「借りる」と「売る」の違いは、審査の見方にも表れます。融資は返す人(自社)の信用を見ますが、ファクタリングは払う人(売掛先)の信用を見ます。赤字の会社でも相談できるのはこのためです。

売掛金が現金に変わるまでの5段階


- 1 申込売掛金の金額・入金日・売掛先を伝え、請求書と通帳の入出金明細、本人確認書類を提出する。オンライン完結の業者ならアップロードで済む。
- 2 審査ファクタリング会社が、売掛金が実在すること、入金日が確定していること、売掛先の支払能力を確認する。利用者の決算より売掛先の信用が中心。
- 3 契約買取額・手数料・振込額、償還請求権の有無、債権譲渡登記の要否、入金後の送金期日を契約書で確認して締結する。
- 4 入金額面から手数料を引いた買取代金が利用者の口座に振り込まれる。必要書類が揃っていれば最短即日。
- 5 送金本来の入金日に売掛先から利用者へ売掛金が入金されたら、利用者はそのままファクタリング会社へ送金して取引が完結する。
3社間では、3の契約時に売掛先の承諾を得て債権譲渡を通知し、5の段階で売掛先がファクタリング会社へ直接支払うため、利用者の送金作業はありません。



2社間と3社間で変わるのは「誰が売掛金を回収するか」
| 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング | |
|---|---|---|
| 契約する相手 | 利用者とファクタリング会社 | 利用者・ファクタリング会社・売掛先 |
| 売掛先への通知・承諾 | 不要 | 必要 |
| 売掛金の回収 | 利用者が受け取ってファクタリング会社へ送金 | 売掛先がファクタリング会社へ直接支払う |
| ファクタリング会社が負うリスク | 売掛先の不払いに加え、利用者が送金しないリスク | 売掛先の不払いのみ |
| 手数料の傾向 | 高め | 低め |
| 入金までの時間 | 最短即日 | 売掛先の承諾待ちで数日〜2週間程度 |
| 債権譲渡登記 | 行う場合がある(第三者への対抗要件) | 売掛先への通知・承諾が対抗要件になるため通常は不要 |
2社間の手数料が高いのは、ファクタリング会社が「利用者が受け取った売掛金を送金してくれるか」というリスクも負うからです。
3社間は売掛先が直接払うのでそのリスクがなく、手数料を低くできます。






手数料が決まる仕組み
手数料は、ファクタリング会社が負うリスクの大きさと、立て替える期間の長さで決まります。
- 売掛先の信用:上場企業や公的機関なら低く、業歴の浅い会社や支払遅れの履歴があれば高くなる
- 契約方式:3社間より2社間が高い
- 入金までの日数:入金日が近いほど低く、遠いほど高い
- 金額:少額は事務コストの比率が上がるため料率が高くなりやすい
- 債権譲渡登記の有無:登記なしを選ぶと業者のリスクが上がり、手数料が上がることがある
- 利用回数:2回目以降は実績が評価されて下がることがある
参考として、アクセルファクターは公式サイトで2社間を売掛金額の10〜20%前後、3社間を3〜10%前後が目安と説明し、ベストファクターは買取手数料2%から、QuQuMo(ククモ)は1%からと公式に表記しています。
いずれも下限または目安で、自社の売掛金でいくらになるかは見積もりでしか分かりません。
なお、ファクタリングは金銭債権の譲渡として消費税の非課税取引にあたるため、手数料に消費税は上乗せされないのが原則です(国税庁タックスアンサーNo.6201)。



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法律上の位置づけ:債権譲渡・ノンリコース・登記
債権譲渡は民法で認められている
売掛債権を第三者に譲ることは民法で認められた取引で、2020年4月1日施行の改正民法では、契約に譲渡制限の特約があっても譲渡自体は有効であることが明文化されました(民法466条2項)。
ノンリコース(償還請求権なし)が本来の形
売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなったとき、その損失をファクタリング会社が負う契約を「償還請求権なし(ノンリコース)」と呼びます。
これが本来のファクタリングで、逆に利用者が買い戻す「償還請求権あり」の契約は、実質的に売掛金を担保にした貸付けに近くなります。
債権譲渡登記は第三者に権利を主張するためのもの
2社間では売掛先に通知しないため、ファクタリング会社は「この債権は自社が買い取った」と第三者に主張する手段として、法務局に債権譲渡登記を行うことがあります。
登記の有無は手数料と、取引先に知られる可能性の両方に関わるので、契約前に確認します。



仕組みを悪用した偽装ファクタリングの見分け方
金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者が確認されていると注意喚起しています。
形式が債権譲渡契約でも、実態が貸付けなら貸金業に当たるおそれがあり、無登録で営めば刑事罰の対象です。
・売掛先が払えなかったとき、利用者が債権を買い戻す・自分の資金で払う条件がある(償還請求権あり)
・買取代金が額面に比べて著しく低く、年率に直すと出資法の上限を大きく超える
・売掛金の実在確認をせず「審査なし」で契約を急がせる
・契約書を渡さない、会社の所在地や代表者が公開されていない
金融庁は、貸金業に当たるかは契約書の形式ではなく「経済的側面や実態に照らして判断される」としています。相談先は金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)や日本貸金業協会(0570-051051)です。
| 業者 | 手数料(公式表記) | 入金 | 契約方式 | 公式サイトの表記 |
|---|---|---|---|---|
| ベストファクター | 2%〜 | 最短即日 | 2社間・3社間 | 償還請求権なしの完全買取。株式会社アレシア(2017年1月設立) |
| アクセルファクター | 2社間10〜20%前後、3社間3〜10%前後を目安と説明 | 最短即日 | 2社間・3社間 | 株式会社アクセルファクター(2018年10月設立)。財務相談にも対応 |
| QuQuMo(ククモ) | 1%〜 | 最短2時間 | 2社間 | オンライン完結、請求書と通帳の2点、債権譲渡登記不要 |



ファクタリングの仕組みに関するよくある質問
まとめ
ファクタリングの仕組みは、売掛債権をファクタリング会社に売り、額面から手数料を引いた代金を先に受け取り、本来の入金日に売掛金がファクタリング会社へ渡る、という3つの動きで成り立っています。
2社間と3社間の違いは誰が売掛金を回収するかで、それがそのまま手数料と入金スピードの差になります。
法律上は民法で認められた債権譲渡で、償還請求権のないノンリコースが本来の形です。
買い戻し条件や極端に低い買取額など、仕組みから外れた契約は偽装ファクタリングのサインなので、契約前に書面で確認してください。



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