売掛先が不渡りを出したときファクタリング利用者はどうなるか

不渡りに対して不安を感じることなくファクタリングを利用する方法とは?コラム

ファクタリングを使ったあとに売掛先が不渡りを出した場合、償還請求権のない契約であれば、利用した側に支払義務は生じません。

回収できなかった損は、買い取ったファクタリング会社が負います。

ただし例外があり、契約の形によっては請求されることもあります。

このページでは、不渡りという制度そのものから、売掛先が不渡りを出したときに何が起きるのか、そして備え方までをまとめました。

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不渡りと取引停止処分の仕組み

不渡りは、手形や小切手が支払期日に決済されないことです。

全国銀行協会は、手形交換業務を電子化した電子交換所を2022年11月4日に開始し、各地の手形交換所は廃止されました。

取引停止処分制度(全国銀行協会)
  • 電子交換所は、手形等の健全な利用を確保するため取引停止処分制度を運営している
  • 6か月間に2回、手形・小切手の不払い(不渡り)を起こした者は、その後2年間、参加銀行との当座預金取引や貸出取引を禁止される

1回目の不渡りで即座に取引が止まるわけではありませんが、2回目で銀行取引が事実上できなくなります。

資金調達の道が断たれるため、取引停止処分は倒産に直結すると言われます。

電子記録債権にも同じ趣旨の制度があります。でんさいネットは、債務者が6か月以内に2回以上の支払不能を生じさせた場合、債務者としての利用と参加金融機関との貸出取引を2年間禁止すると案内しています(業務規程第48条・第49条)。
全国銀行協会は、手形・小切手機能の全面的な電子化を実現するため、2027年度初に電子交換所における手形・小切手の交換を廃止するとしています。手形を使っている取引は、でんさいなどへの切り替えが前提になります。
電子記録債権とファクタリングの違いと使い分け
でんさいは手形や売掛債権に代わる決済の仕組みで、ファクタリングはその債権を売る方法です。印紙税や分割譲渡といったでんさいの特徴、支払企業が倒産したときに誰が責任を負うかという決定的な違い、相手の参加状況とスピードで決める使い分けをまとめました。

売掛先が不渡りを出したらどうなるか

ファクタリングで売掛債権をすでに譲渡していた場合、その債権はファクタリング会社のものです。

回収できるかどうかは、契約で誰がリスクを負っているかで決まります。

契約売掛先が不渡り・倒産したとき
償還請求権なし(ノンリコース)利用者に支払義務は生じない。損はファクタリング会社が負う
償還請求権あり利用者が売掛金相当額を支払う義務を負う。実質的に借入に近い

金融庁は、売主が債権を買い戻すこととされている、あるいは売主自身の資金で支払いをしなければならないこととされている契約について、貸金業に該当するおそれがあると説明しています。

償還請求権ありの契約を結ばされているなら、それはファクタリングという名前の貸付けかもしれません。

カリオ
カリオ

契約書で探すのは「償還請求権」という言葉だけではありません。買戻し、表明保証、債務の保証という言い回しでも、同じ負担が戻ってきます。見慣れない条項があれば弁護士に見てもらってください。

償還請求権がなくても請求される場合

ノンリコースでも、利用者側に原因があれば話は別です。

請求される可能性があるケース
  • 実在しない請求書を買い取らせた(架空債権)
  • 同じ債権を複数の会社に売った(二重譲渡)
  • 請求書の金額や日付を書き換えた
  • すでに相手と争いになっている債権を、問題がないと偽って売った
  • 2社間で売掛先から入金を受けたのに、送金しなかった

これらは売掛先の不渡りとは関係のない、契約違反や不正の問題です。

詐欺罪など刑事上の責任が生じることもあります。

資金繰りが苦しいときほど、入金された売掛金を手元に残したくなります。しかしその売掛金はすでにファクタリング会社のものなので、使えば契約違反です。確認のため売掛先へ連絡が入り、取引先に利用を知られる原因にもなります。
https://www.kariiku.online/humitaoshi/

売掛先の不渡りに備える

不渡りは起きてからでは打つ手が限られます。

備え内容
保証型ファクタリング売掛金が回収できなかったときに保証会社が支払う。買取型とは別の契約
取引信用保険売掛先の倒産などによる貸倒れに備える保険
セーフティネット保証1号大型倒産事業者に売掛金債権等を有していて資金繰りに支障が生じた中小企業者を支援する区分。市区町村の認定が要る
取引先の分散1社への依存度を下げる。売上の集中が最大のリスク

買取型のファクタリングは、譲渡した分については結果として回収リスクを手放すことになります。

支払いに不安がある売掛先の請求書を先に資金化しておくのは、備えとして機能します。

ただし、すでに支払期日を過ぎて回収困難になっている債権はファクタリングの対象外です。不安を感じた段階、つまり期日が来る前に動く必要があります。
保証ファクタリングとは?売掛金の貸し倒れに備える仕組み、買取型との違い、保証料の考え方と建設業向けの支援制度
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契約前に確かめる3点

確認する項目見るところ
償還請求権の有無売掛先が払わなかったとき、利用者が支払う定めがないか
買い戻し条項一定の期日に利用者が買い戻すことになっていないか
表明保証の範囲売掛先の支払能力まで保証させられていないか

3つ目は見落とされがちです。

不払いの兆候がないことを利用者に表明保証させる契約は、実質的に債務の保証を求めているのと変わらないとして、裁判で金銭消費貸借契約に該当すると判断された例があります(東京地裁令和4年3月4日判決)。

会社償還請求権手数料取引形態
ベストファクター償還請求権なしの完全買取と公式サイトに明記2%〜2社間・3社間
QuQuMo公式サイトのよくある質問で売掛先の倒産時の扱いを案内1%〜2社間のみ
PayToday公式サイトで要確認1〜9.5%2社間
トップ・マネジメント公式サイトで要確認見積もりで提示2社間・3社間・2.5社間

いずれも各社公式サイトの表記(2026年10月時点)です。

カリオ
カリオ

手数料の高さは契約前に分かりますが、償還請求権の有無が効いてくるのは何か月も先です。目先の率より、そちらを先に確かめてください。

よくある質問

Q
手形で2回不渡りを出すとどうなりますか?
A
全国銀行協会によると、6か月間に2回、手形・小切手の不払いを起こした者は、その後2年間、参加銀行との当座預金取引や貸出取引を禁止されます。これが取引停止処分です。銀行からの借入も当座も使えなくなるため、事業の継続が難しくなります。
Q
ファクタリング後に売掛先が倒産したら、買取代金を返す必要がありますか?
A
償還請求権のない契約であれば返す必要はありません。回収できなかった損はファクタリング会社が負います。ただし償還請求権ありの契約や、架空債権・二重譲渡など利用者側に不正があった場合は請求されます。契約書の条項を確かめてください。
Q
売掛先の経営が危なそうです。先に現金化しておくべきですか?
A
償還請求権のない契約で譲渡しておけば、結果として回収リスクを手放すことになります。ただし支払期日を過ぎて回収困難になった債権は対象外なので、動くなら期日前です。また売掛先の信用に不安があれば、審査で断られることもあります。
Q
手形の交換が廃止されると聞きました。いつからですか?
A
全国銀行協会は、手形・小切手機能の全面的な電子化を実現するため、2027年度初に電子交換所における手形・小切手の交換を廃止するとしています。手形で受け取っている取引は、でんさいなどへの切り替えを取引先と相談しておいてください。

まとめ

不渡りは、6か月間に2回起こすと2年間の取引停止処分につながる重い事態です。

ファクタリングで譲渡済みの債権について売掛先が不渡りを出した場合、償還請求権のない契約なら利用者に支払義務は生じません。

ただし架空債権や二重譲渡、送金の不履行があれば、ノンリコースでも請求され、刑事上の責任が生じることもあります。

手形・小切手の交換は2027年度初に廃止される方針なので、手形で受け取っている取引はでんさいへの切り替えも併せて考えてください。

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