ファクタリングの踏み倒しが横領や詐欺になる理由と支払えないときの手順

売掛債権の踏み倒し対策としてファクタリング会社がとる行動を徹底解明コラム

2社間ファクタリングでは、売掛先から入金されたお金をファクタリング会社へ送金します。

資金繰りが詰まると、この送金を後回しにしてしまうことがあります。

しかし、そのお金はすでに自社のものではありません。使い込めば横領の問題になり、最初から返すつもりがなかったと見られれば詐欺の問題になります。

このページでは、どの罪にどう当たりうるのか、そして支払えないときに取るべき手順をまとめました。

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送金しないとどうなるのか

段階起きること
送金期日を過ぎる契約違反。遅延損害金が発生する契約が多い
連絡が取れないファクタリング会社が売掛先へ確認の連絡をする。利用が取引先に知られる
支払いがないまま続く内容証明による督促、訴訟、財産の差押えへ進む
使い込みが明らかになる横領、場合によっては詐欺として刑事の問題になる

2社間は売掛先に知られない仕組みですが、それは送金が約束どおり行われている前提の話です。

送金が止まれば、ファクタリング会社は債権者として売掛先へ直接確認せざるをえません。

カリオ
カリオ

いちばん失うものが大きいのは、取引先に知られることです。資金繰りは立て直せても、受注が止まると戻せません。

どの罪に当たりうるのか

刑法の条文で確認すると、法定刑は次のとおりです。

行為あたりうる罪法定刑
預かっている売掛金を、ほかの支払いに使い込んだ横領(刑法252条)5年以下の拘禁刑
業務上占有している立場で同じことをした業務上横領(刑法253条)10年以下の拘禁刑
最初から送金する意思がないまま資金を受け取った詐欺(刑法246条)10年以下の拘禁刑
架空の請求書や二重譲渡で資金化した詐欺(刑法246条)10年以下の拘禁刑
業務上横領の法定刑を「5年以下」と説明している記事がありますが、刑法253条は10年以下の拘禁刑と定めています。5年以下は252条の単純横領のほうです。条文はe-Gov法令検索で確認できます。

刑法の条文では「拘禁刑」という表記になっています。かつての懲役と禁錮が一本化されたものです。

刑事の問題になるかどうかは、使い込んだ事実があるか、最初から返す意思があったかといった事情で判断されます。払えなくなっただけなのか、使ってしまったのかで扱いが変わるため、自己判断で相手と交渉する前に弁護士へ相談してください。
ファクタリングで請求書を偽造するとどの罪にあたるのか
請求書の水増しや架空の請求書は詐欺、書類の偽造や変造は私文書偽造等にあたります。現行の刑法の条文で法定刑を確認し、なぜ必ず発覚するのか、偽造ではないのに金額がずれる場合の伝え方、やってしまった場合の対応までまとめました。

時効で逃げ切れるのか

「5年で時効になる」という説明を見かけますが、現実的ではありません。

債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年とされています。

ただし、請求や裁判上の手続き、承認によって時効は完成が猶予されたり更新されたりします。

時効を当てにできない理由
  • 督促や訴訟の提起によって、時効の完成が猶予される
  • 一部でも支払えば債務の承認にあたり、時効が更新される
  • 判決が確定すれば、そこから改めて長い期間が始まる
  • その間、取引先にも金融機関にも事情が知られた状態が続く

逃げる前提で時間を使うより、早く相談したほうが選べる手段が多く残ります。

支払えないときの手順

期日に間に合わないと分かったら
  • 1 期日の前に連絡する
    期日を過ぎてからより、前に連絡するほうが話し合いの余地があります。黙って期日を越えるのが最も悪い選択です。
  • 2 状況を正直に伝える
    いくら不足していて、いつなら払えるのかを数字で示します。資金繰り表があれば説得力が出ます。
  • 3 分割や期日の変更を相談する
    応じるかは会社によりますが、連絡があるかないかで対応は変わります。
  • 4 弁護士に相談する
    金額が大きい、複数社と契約している、取立てが行き過ぎているといった場合は、早い段階で弁護士に入ってもらってください。
別のファクタリング会社から資金を調達して穴を埋める、という手は避けてください。手数料が重なって負担が増えるだけでなく、同じ債権に手を付ければ二重譲渡になります。資金繰りの立て直しは、公的融資や経営改善の相談と並行して進めてください。
相談先内容
弁護士刑事の問題が絡むため、まずここへ。示談や分割の交渉も任せられる
金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811(平日10:00〜17:00)。業者の対応に問題があるとき
警察相談専用電話#9110。取立てが行き過ぎているとき
商工会議所、認定経営革新等支援機関資金繰りそのものの立て直し
悪質なファクタリング業者の手口と被害に気づいたときの動き方
悪質なファクタリング業者は、書面を出さない、買い戻しを求める、担保や分割返済を持ち出すといった形で売買ではなく貸付けの性質を契約に入れてきます。契約前に避ける見方、被害に気づいたときの手順と相談窓口、二重譲渡など利用者が加害者になる行為までまとめました。

そもそも踏み倒しが起きないようにする

原因の多くは、送金に回すお金を運転資金として使ってしまうことです。

防ぐための運用
  • 契約した日に、送金期日を経理の予定表へ書き込む
  • 売掛先からの入金は預り金で受け、残高として見えるようにする
  • 送金用の資金は生活費や運転資金と口座を分けて置く
  • 回収金の引渡期限が短い契約を避ける。申し込み前に日数を確認する
  • 支払いが遅れがちな売掛先の請求書を2社間に回さない

2社間で売掛先からの入金を預り金で処理しておけば、送金しなければならない金額が帳簿で把握できます。

会計の都合だけでなく、送金漏れを防ぐ仕組みとしても有効です。

カリオ
カリオ

送金用の口座を別に作って、入金があったらその日に移してください。手元にあると、どうしても目の前の支払いに回してしまいます。

ファクタリングの仕訳を場面ごとに具体例でまとめる
額面100万円・手数料5万円の例で、2社間・3社間・保証型それぞれの仕訳を借方と貸方で示しました。契約日と入金日が分かれる場合の未収入金、2社間の預り金、期をまたぐときに残る残高、会計ソフトの税区分の設定まで整理しています。

よくある質問

Q
売掛先が払ってくれないので送金できません。この場合も責任を負いますか?
A
償還請求権のない契約であれば、売掛先の不払いによる損はファクタリング会社が負います。ただし入金がないことを放置せず、速やかに連絡してください。連絡がないまま期日を過ぎると、使い込みを疑われます。売掛先からの督促の記録も残しておいてください。
Q
一部だけ送金することはできますか?
A
契約によりますが、事前に相談すれば応じてもらえることがあります。無断で一部だけ振り込むのではなく、残りをいつ払うのかを含めて話してから実行してください。なお、一部でも支払えば債務の承認にあたり、時効は更新されます。
Q
会社をたためば支払わなくて済みますか?
A
済むとは限りません。法人の債務でも、代表者が連帯保証していれば個人に請求が及びます。また使い込みがあった場合は、法人を清算しても個人の刑事責任は残ります。破産などの手続きを検討するなら、必ず弁護士に相談してください。
Q
取立てが厳しくて怖いです。
A
やり取りを記録したうえで、弁護士と警察相談専用電話(#9110)に相談してください。最高裁判所は、権利の実行であっても社会通念上一般に忍容すべき程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪または脅迫罪が成立することがあるとしています。支払う義務があることと、違法な取立てを受け入れることは別の話です。

まとめ

預かっている売掛金を使い込めば横領(刑法252条、5年以下の拘禁刑)、業務上の占有であれば業務上横領(刑法253条、10年以下の拘禁刑)の問題になります。

最初から送金する意思がなかった場合や、架空債権・二重譲渡であれば詐欺(刑法246条、10年以下の拘禁刑)です。

時効は督促や承認で更新されるため、逃げ切る前提で時間を使うのは現実的ではありません。

期日に間に合わないと分かったら、過ぎる前に連絡し、弁護士に相談してください。別のファクタリングで穴を埋めるのは避けてください。

ファクタリングの仕組みをお金と債権の動きで解説!2社間・3社間の流れ、手数料が決まる仕組み、法律上の位置づけと偽装の見分け方
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