通常のファクタリングは、納品や作業が終わって請求書を出したあとの「確定した売掛金」を売る取引です。
将来債権ファクタリングは、その前の段階、つまり注文書や継続的な契約に基づいて「これから発生する見込みの売掛金(将来債権)」を売って資金化する方法です。
材料費や外注費を先に払わなければ仕事が始められない業種にとっては、請求書を出す前に資金が入る点が大きな違いになります。
このページでは、確定債権との違い、法的な根拠、向いている場面、手数料や審査で確定債権のファクタリングと変わる点、そして「将来の売上を前倒しで使う」ことの危うさをまとめました。
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確定債権と将来債権の違いは「請求書を出す前か後か」

| 確定債権のファクタリング(通常) | 将来債権ファクタリング | |
|---|---|---|
| 売る債権 | 納品・検収が済み、請求書を出した売掛金 | 注文書・発注書・継続契約に基づき、これから発生する見込みの売掛金 |
| 資金化できる時点 | 請求書発行後 | 受注・契約の段階(納品前) |
| 金額の確定度 | 確定している | 見込み。納品量や検収で変わる可能性がある |
| 業者が負うリスク | 売掛先の支払不能 | 売掛先の支払不能に加えて、債権そのものが発生しないリスク |
| 手数料の傾向 | 低め | 高め |
| 審査 | 売掛先の信用、請求書と入金実績 | 売掛先の信用に加え、継続取引の実績や契約書、債権が確実に発生する根拠 |
| 取り扱う業者 | 多い | 限られる |
法的な根拠:改正民法で将来債権の譲渡が明文化された
将来発生する債権を譲渡できることは判例で認められていましたが、2020年4月1日に施行された改正民法で、将来債権の譲渡が有効であることが条文に明記されました(民法466条の6)。
譲渡の時点で債権がまだ発生していなくても、発生した時点で譲受人(ファクタリング会社)がその債権を取得する、という整理です。
この明文化によって、注文書段階での資金化を扱う業者が増えました。

将来債権ファクタリングが向いている場面
- 受注から請求までが長い業種:建設業、製造業、システム開発など、着工・製造・納品に数か月かかり、その間の材料費や外注費を先に払う必要がある
- 大口受注で先払いが膨らんだとき:通常より大きな案件を受け、仕入や人件費が先行する
- 継続契約の売上が読めるとき:毎月決まった取引先から決まった金額の入金がある会社が、数か月分をまとめて資金化したい
- 確定債権だけでは足りないとき:手元の請求書を全部売っても必要額に届かない
逆に、取引先が毎回変わる、受注金額が案件ごとに大きく変動する、という会社は「将来確実に発生する」根拠を示しにくく、審査で不利になります。


「注文書で資金化できる」と聞くと万能に見えますが、業者から見れば「まだ存在しないお金」を買う取引です。その分、手数料も審査も確定債権より厳しくなるのが普通で、安さを強調する業者は逆に注意が要ります。
手数料・審査・必要書類で確定債権と変わる点
手数料は確定債権より高くなりやすい
将来債権は、売掛先が支払わないリスクに加えて、納品が遅れる・検収で減額される・契約が打ち切られるといった「債権が予定どおり発生しない」リスクを業者が負います。
そのため手数料は確定債権のファクタリングより高めに設定されるのが一般的です。
見積もりでは手数料率だけでなく、注文書の金額に対して実際にいくら振り込まれるかを確認してください。
審査は「債権が確実に発生する根拠」が中心
確定債権なら請求書と入金実績で足りますが、将来債権では次のような書類で発生の確実性を示す必要があります。
- 注文書・発注書・基本契約書(金額、納期、支払条件が分かるもの)
- 同じ売掛先との過去の取引実績(請求書と入金履歴)
- 工程表や納品スケジュール
- 自社の決算書・試算表(納品を完遂できる体力があるか)
売掛先との取引が初めての場合や、過去に納期遅れ・減額があった場合は、審査が通らないか、買取額が大きく絞られます。
対応する業者は限られる
将来債権や注文書を扱う業者はまだ多くなく、確定債権のファクタリングを主力とする業者では対応していないことがあります。
当サイトで紹介している業者のうち、QuQuMo(ククモ)は請求金額と入金日が確定している請求書を対象としており、入金日が過ぎたものは申し込めないと公式サイトに明記しています。
ベストファクターとアクセルファクターは2社間・3社間の確定債権を中心に扱っており、注文書段階の債権に対応できるかは個別の相談になります。
将来債権での利用を考えているなら、申し込む前に「注文書・発注書での買取に対応しているか」を業者へ直接確認してください。



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将来の売上を前倒しで使うことの危うさ
将来債権ファクタリングで最も注意すべきなのは、仕組みの難しさではなく「先の売上を今使ってしまう」ことです。
来月・再来月に入るはずだった売上を今月受け取れば、来月・再来月の入金はその分なくなります。
その月の支払いを埋めるためにまた将来債権を売れば、手数料を払いながら売上を前倒しし続けることになり、資金繰りは先細りします。
使ってよい:大口受注の材料費・外注費など、その案件の売上で回収できる先行支出に充てる。
使ってはいけない:慢性的な赤字の穴埋め、毎月の固定費の支払い、借入返済の原資。これらに使うと、売上を前倒しするだけで赤字の構造は変わらず、手数料の分だけ悪化します。
金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者が確認されていると注意喚起しています。
将来債権は金額が確定していない分、契約内容が複雑になりやすく、「債権が発生しなかった場合は利用者が買い戻す」といった条件が付いていれば実質的に借入です。
契約前に、債権が発生しなかったときの扱い、償還請求権の有無、追加費用を書面で確認してください。



将来債権ファクタリングのよくある質問
まとめ
将来債権ファクタリングは、注文書や継続契約に基づいて、請求書を出す前の段階で見込みの売掛金を資金化する方法で、2020年4月施行の改正民法で将来債権の譲渡が明文化されたことが根拠になっています。
受注から請求までが長い業種の先行支出には向いていますが、確定債権より手数料は高く、審査では債権が確実に発生する根拠が求められ、対応する業者も限られます。
将来の売上を前倒しで使う取引なので、その案件の売上で回収できる支出に限って使い、債権が発生しなかった場合の扱いと償還請求権の有無を契約前に書面で確認してください。



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