ファクタリングの勘定科目の選び方と間違えやすい処理

ファクタリングでは勘定科目が複雑!融資との違いや注意点をわかりやすく解説!コラム

ファクタリングの手数料を「支払手数料」で処理してしまう例をよく見かけますが、これは適切ではありません。

借入ではなく債権の売却なので、額面と買取額の差は利息でも手数料でもなく、売った損失にあたります。

科目の選び方を間違えると、決算書の見え方が変わり、消費税の区分も狂います。

このページでは、どの場面でどの科目を使うのか、会計ソフトに科目がないときはどうするのかを整理しました。

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使う勘定科目の一覧

勘定科目分類使う場面
売掛金流動資産商品やサービスを提供して売上が立ったとき
未収入金流動資産買取型の契約を結び、買取代金の入金を待っているとき
売上債権売却損(売掛債権売却損)営業外費用買取型で差し引かれた手数料を計上するとき
預り金流動負債2社間で、売掛先から自社の口座に入金があったとき
支払手数料販売費及び一般管理費保証型で保証料を支払うとき
貸倒損失営業外費用等保証型で売掛金が回収不能になったとき
雑収入営業外収益保証型で保証金を受け取ったとき

買取型と保証型でまったく違う科目を使う点に注意してください。

買取型は債権を売る取引、保証型は回収できなかったときに備える保険に近い取引です。

カリオ
カリオ

契約書に「債権譲渡契約」とあれば買取型、「保証委託契約」なら保証型です。まずどちらかを確かめてから科目を決めてください。

手数料を「支払手数料」や「支払利息」にしない

買取型でやってはいけない処理
  • 手数料を支払利息で処理する。借入ではないため、利息という扱いにならない
  • 手数料を支払手数料で処理する。役務の対価ではなく、債権を額面より安く売ったことによる損失
  • 手数料を雑費にまとめる。金額が大きいと内容が分からず、金融機関の見方も変わる

支払利息で処理すると、決算書の上では借入をしているように見えます。

実際には負債が増えていないので、実態と合いません。

会計ソフトに「売上債権売却損」や「売掛債権売却損」が用意されていないことがあります。その場合は営業外費用のなかに科目を新規作成するか、「雑損失」で処理して摘要に内容を書く方法があります。どちらにするかは顧問税理士に確認してください。

2社間で入金があったときは預り金

ここが買取型でいちばん間違えやすいところです。

2社間では、売掛先は契約を知らないので、これまでどおり自社の口座へ入金してきます。

場面処理理由
売掛先から入金された預り金(流動負債)で受ける売掛金はすでにファクタリング会社に譲渡済み。自社の売上でも売掛金の回収でもない
ファクタリング会社へ送金した預り金を取り崩す預かっていたお金を引き渡した

入金を売上や売掛金の回収として処理してしまうと、同じ売上を二重に計上することになります。

譲渡した時点で売掛金は帳簿から消えているので、戻ってきた入金は預り金で受けるのが筋です。

預り金で受けておくと、ファクタリング会社へ送金すべき金額が残高としてはっきり見えます。送金漏れの防止にもなるので、経理の運用としても有効です。
ファクタリングの仕訳を場面ごとに具体例でまとめる
額面100万円・手数料5万円の例で、2社間・3社間・保証型それぞれの仕訳を借方と貸方で示しました。契約日と入金日が分かれる場合の未収入金、2社間の預り金、期をまたぐときに残る残高、会計ソフトの税区分の設定まで整理しています。

消費税はどう扱うか

国税庁のタックスアンサーNo.6201「非課税となる取引」では、主な非課税取引として有価証券等の譲渡が挙げられ、そのなかに金銭債権などの譲渡が含まれています。

対象消費税の扱い
売掛債権の譲渡そのもの非課税取引(金銭債権の譲渡)
買取型の手数料(額面と買取額の差)債権譲渡の対価の一部なので、消費税は上乗せされない
債権譲渡登記にかかる司法書士報酬役務の提供なので課税取引
保証型の保証料信用保証料に当たるものは非課税。契約内容で確認する

手数料に消費税を上乗せして請求してくる業者がいたら、その時点で内容を確かめてください。

登記費用のように別口で発生する課税取引と混ざっていないかも含めて、請求書の内訳を見てください。

カリオ
カリオ

非課税の取引が増えると課税売上割合が下がるのでは、と心配されることがありますが、自社の売上から生じた売掛金の譲渡は課税売上割合の計算に含めません。国税庁の計算方法でも、5%を分母に加える対象から「資産の譲渡等の対価として取得したもの」が除かれています。

決算書にどう表れるか

見るところ変化
貸借対照表売掛金が減り、現預金が増える。借入金は増えない
損益計算書営業外費用に売上債権売却損が立つ。営業利益は変わらず、経常利益が減る
勘定科目内訳明細書売掛金の明細から、譲渡した売掛先の分が消える

営業利益に影響しないのは、売上債権売却損が営業外費用だからです。

ただし経常利益は減るので、継続して使えばその分だけ利益が削られます。

金融機関は損益計算書の営業外費用を見るので、隠れる処理ではありません。

売上債権売却損を雑費や支払手数料に紛れ込ませても、売掛金の減り方と入出金から把握されます。かえって不自然に見えるので、実態どおりの科目で処理してください。
ファクタリングを利用する適切な税務処理をシンプルにわかりやすく解説
ファクタリングはよく利用される手法ですが、税務処理に関してはあまり理解されていないのが現状です。そこでこの記事ではファクタリングにおける税務処理についてシンプルにわかりやすく解説していきたいと思います。資金を調達することばかりに頭が行ってしまいがちですが、適切な税務処理を行うのはとても大切なことです。

よくある質問

Q
会計ソフトに「売上債権売却損」がありません。どうすればいいですか?
A
営業外費用のなかに科目を新規作成するのが基本です。作成できない場合は「雑損失」で処理し、摘要にファクタリング手数料である旨を記載します。金額が大きいときは科目を分けたほうが決算書の説明がしやすくなるので、顧問税理士に相談してください。
Q
個人事業主でも同じ科目でいいですか?
A
考え方は同じです。青色申告決算書では営業外費用という区分がないため、手数料は経費として計上し、科目名は「売上債権売却損」や「雑費」などを使います。どの科目を使うかより、毎回同じ科目で一貫して処理することのほうが大切です。
Q
ファクタリングで売上が増えることはありますか?
A
増えません。売上は請求書を発行した時点で計上済みで、ファクタリングは計上済みの売掛金を現金に換える取引です。2社間で売掛先から入金があったときに売上として処理してしまうと二重計上になるので、預り金で受けてください。
Q
期をまたいで入金された場合はどうなりますか?
A
契約日に売掛金を落として未収入金を立て、買取代金が入金された時点で未収入金を消す、という流れになります。契約と入金が期をまたぐ場合は、期末に未収入金として残ります。2社間で売掛先からの入金が翌期になる場合は、預り金が期末残高として残ります。

まとめ

買取型の手数料は売上債権売却損(売掛債権売却損)で、営業外費用に計上します。

支払利息や支払手数料は、借入でも役務の対価でもないため適切ではありません。

2社間で売掛先から入金があったときは預り金で受け、ファクタリング会社へ送金した時点で取り崩します。

国税庁は金銭債権の譲渡を非課税取引としているため、手数料に消費税は上乗せされません。登記にかかる司法書士報酬は別です。

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