ファクタリングの仕訳を場面ごとに具体例でまとめる

ファクタリングの仕訳は条件によって違う!4つのケースを徹底解説!コラム

ファクタリングの仕訳は、2社間か3社間か、そして買取型か保証型かで形が変わります。

つまずきやすいのは、契約と入金が別の日になる場合と、2社間で売掛先から自社の口座に入金されたときの処理です。

このページでは、場面ごとに借方と貸方を並べ、期をまたぐ場合まで含めて具体例でまとめました。

金額は額面100万円、手数料5万円(5%)、買取代金95万円として統一しています。

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共通:売上が立ったとき

まず、ファクタリングを使う前の通常の処理です。

借方金額貸方金額
売掛金1,000,000売上1,000,000

この時点で売上は計上済みです。

ファクタリングはこのあとの資金化なので、売上が増えることはありません。

2社間ファクタリングの仕訳

2社間では、売掛先は契約を知らないため、期日になると自社の口座へ入金してきます。

そのため仕訳も3段階になります。

1. 契約した日
借方金額貸方金額
未収入金1,000,000売掛金1,000,000

売掛金はファクタリング会社に譲渡したので帳簿から落とし、買取代金を受け取る権利として未収入金に振り替えます。

2. 買取代金が入金された日
借方金額貸方金額
普通預金950,000未収入金1,000,000
売上債権売却損50,000

額面と買取代金の差額が売上債権売却損です。

契約と入金が同じ日なら、未収入金を立てずに売掛金から直接落として構いません。

3. 売掛先から入金があり、ファクタリング会社へ送金した日
場面借方金額貸方金額
売掛先から入金普通預金1,000,000預り金1,000,000
ファクタリング会社へ送金預り金1,000,000普通預金1,000,000
この入金を売上や売掛金の回収として処理すると、同じ売上を二重に計上することになります。売掛金はすでに帳簿から消えているので、戻ってきたお金は預り金で受けてください。
カリオ
カリオ

預り金で受けておくと、送金しなければならない金額が残高として見えます。送金漏れは契約違反になるので、経理の仕組みとしても預り金を通すほうが安全です。

3社間ファクタリングの仕訳

3社間では、売掛先がファクタリング会社へ直接支払います。

自社の口座を経由しないので、預り金の処理は要りません。

場面借方金額貸方金額
契約した日未収入金1,000,000売掛金1,000,000
買取代金の入金普通預金950,000未収入金1,000,000
売上債権売却損50,000
支払期日仕訳なし(売掛先がファクタリング会社へ直接支払う)

2社間との違いは、最後の送金がないという一点です。

3社間ファクタリングとは。手数料が安い代わりに売掛先の承諾が要る

保証型ファクタリングの仕訳

保証型は債権を売る取引ではなく、回収できなかったときに備える契約です。

契約しただけでは仕訳は発生しません。

場面借方金額貸方金額
保証料を支払った支払手数料30,000普通預金30,000
売掛金が回収不能になった貸倒損失1,000,000売掛金1,000,000
保証金を受け取った普通預金800,000雑収入800,000

買取型と違い、保証料は役務の対価なので支払手数料で処理します。

ここで売上債権売却損を使うと、売っていない債権を売ったことになってしまいます。

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期をまたぐときの処理

契約した期と入金された期が分かれる場合、期末に何が残るかを押さえておいてください。

状況期末に残るもの
契約したが買取代金がまだ入金されていない未収入金(流動資産)
2社間で、売掛先からの入金が翌期になる何も残らない。売掛金は譲渡済みで、預り金はまだ発生していない
2社間で、売掛先から入金済みだが送金が翌期になる預り金(流動負債)
勘定科目内訳明細書では、譲渡した売掛先の分が売掛金の明細から消えます。前期と比べて特定の取引先の売掛金だけが消えていると、金融機関や税務署から内容を聞かれることがあります。摘要に経緯を残しておいてください。

消費税の区分

国税庁のタックスアンサーNo.6201「非課税となる取引」では、主な非課税取引として有価証券等の譲渡が挙げられ、そのなかに金銭債権などの譲渡が含まれています。

対象区分
売上債権売却損(買取型の手数料)債権譲渡の対価の一部。消費税は上乗せされない
保証型の保証料信用保証料に当たるものは非課税。契約内容で確認する
債権譲渡登記の司法書士報酬課税取引
振込手数料課税取引

会計ソフトで売上債権売却損を登録するときは、税区分を非課税または対象外に設定してください。

課税仕入れにしてしまうと、消費税の計算がずれます。

自社の売上から生じた売掛金の譲渡は、課税売上割合の計算に含めません。国税庁の計算方法では、特定の金銭債権の譲渡に係る売上高を総売上高にも課税売上高にも含めないとされ、5%を分母に加える対象からも「資産の譲渡等の対価として取得したもの」が除かれています。つまりファクタリングを使っても課税売上割合は下がりません。
カリオ
カリオ

仕訳そのものより、税区分の設定を間違えているケースのほうが多いです。最初の1件を登録するときに、科目と税区分をセットで確認しておいてください。

ファクタリングの勘定科目の選び方と間違えやすい処理
買取型の手数料は売上債権売却損として営業外費用に計上します。支払利息や支払手数料が適切でない理由、2社間で売掛先から入金があったときの預り金処理、国税庁が非課税取引とする範囲、決算書にどう表れるかまで整理しました。

よくある質問

Q
契約と入金が同じ日なら、未収入金は省略できますか?
A
省略できます。普通預金と売上債権売却損を借方に、売掛金を貸方に立てる1本の仕訳で済みます。未収入金を使うのは、契約日と入金日が分かれる場合や、期末をまたぐ場合に残高を正しく表すためです。
Q
売掛金の一部だけを譲渡した場合はどうなりますか?
A
譲渡した金額の分だけ売掛金を落とし、残りは売掛金のまま残します。掛け目があって額面の一部だけを買い取る契約の場合は、残りの精算がいつ行われるかを確認したうえで、未収入金として残す範囲を決めてください。扱いが複雑になるので、顧問税理士に契約書を見てもらうのが確実です。
Q
個人事業主の場合も同じ仕訳でいいですか?
A
考え方は同じです。青色申告決算書には営業外費用の区分がないため、手数料は経費として計上します。科目名は会計ソフトで作成するか、既存の科目を使って摘要に内容を書いてください。大切なのは毎回同じ処理で一貫させることです。
Q
2社間で送金が遅れた場合、仕訳はどうなりますか?
A
預り金が残ったままになります。遅延損害金や違約金が発生した場合は、別途その支払いを費用として計上します。ただし会計処理の問題より、送金の遅れは契約違反として法的手続きの対象になり、売掛先へ確認の連絡が入る原因にもなります。まず送金を優先してください。

まとめ

買取型は、契約日に売掛金を未収入金へ振り替え、入金日に普通預金と売上債権売却損で未収入金を消します。

2社間では、売掛先からの入金を預り金で受け、ファクタリング会社へ送金した時点で取り崩します。

保証型は契約時に仕訳をせず、保証料は支払手数料、回収不能時は貸倒損失、保証金の受取は雑収入で処理します。

手数料は非課税取引なので、会計ソフトの税区分を課税仕入れにしないよう気をつけてください。

ファクタリングの仕組みをお金と債権の動きで解説!2社間・3社間の流れ、手数料が決まる仕組み、法律上の位置づけと偽装の見分け方
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