電子記録債権とファクタリングの違いと使い分け

ファクタリングは電子記録債権とは違う!共通している・異なる点を解説コラム

電子記録債権(でんさい)とファクタリングは、どちらも入金前の債権を現金に換える手段です。

ただし、でんさいは手形や売掛債権に代わる決済の仕組みそのもので、ファクタリングはその債権を売る方法です。

制度と手段という関係なので、どちらかを選ぶというより、でんさいで受け取ったものをどう資金化するか、という話になります。

このページでは、両者の違い、手形の電子化が進むなかでの位置づけ、そして使い分けの判断をまとめました。

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でんさいとは何か

でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が取り扱う電子記録債権のことです。

でんさいネットは、電子記録債権を手形と指名債権(売掛債権等)の問題点を克服した金銭債権だと説明しています。

でんさいの4つのメリット(でんさいネット)
  • コスト削減。手形・領収書の取扱いに係る印紙税や郵送料等を削減できる
  • 事務負荷軽減。手形への記入・押印、取立依頼等の事務負担が減る
  • リスク低減。現物がないため盗難・紛失のリスクが下がる
  • 資金繰り円滑化。取引金融機関で支払期日前に資金化できる

手形と違って印紙税は課税されず、支払期日になると口座へ自動的に入金されるので取立手続きも要りません。

受け取る側にとって大きいのは、分割して譲渡や割引ができる点です。

手形は額面のまま扱うしかありませんが、でんさいなら必要な額だけを資金化できます。

でんさいネットの統計では、2025年度のでんさい請求取扱高(発生記録請求金額)は50兆915億円、利用者登録数は2025年度末時点で569,854社です。契約は、利用する各金融機関で申し込みます。
カリオ
カリオ

でんさいは自社だけでは始められません。支払う側と受け取る側の双方が参加している必要があるので、取引先が使っているかを先に調べてください。でんさいネットには利用状況を検索するサービスがあります。

でんさいとファクタリングの違い

でんさい(割引)ファクタリング
性質決済と債権管理の仕組み債権を売る資金調達の方法
手続きの相手取引金融機関ファクタリング会社
相手の加入支払う側も受け取る側も参加している必要がある不要。売掛先は関与しない(2社間)
審査で見るもの利用者の信用も見られる売掛先の支払能力が中心
支払企業が倒産したとき一般に、割引を受けた側が買い戻す定めになっている償還請求権なしの契約なら、利用者に支払義務は生じない
コスト低い傾向高め。2社間はとくに高い
スピード金融機関の手続きによる最短即日
分割分割して譲渡・割引できる請求書単位。会社により一部買取あり

いちばん大きな違いは、倒産したときに誰が損を負うかです。

でんさいの割引は、支払う企業が倒産した場合に割引を受けた側が責任を負う形が一般的とされています。

ファクタリングで償還請求権のない契約を結んでいれば、売掛先が倒産しても利用者に支払義務は生じません。

この点は契約ごとに異なります。でんさいの割引を申し込むときは取引金融機関に、ファクタリングでは契約書の償還請求権の条項を、それぞれ必ず確認してください。金融庁は、償還請求権がないという記載などの形式だけでなく実態に照らして判断されるとしています。
ファクタリングでは割引率が重要!割合が決まる違いや意味を理解する
ファクタリングの割引とは売掛債権の買取にかかる手数料です。割引率を用いることが多く、売掛金の金額に割引率をかけた金額を手数料としてファクタリング会社に支払うことになります。割引率には取引方法や支払い期日までの日数などの影響があり、各社で算出方法も異なります。割引率を少しでも小さくしたいなら比較をして決めましょう。

手形の電子化が進んでいる

でんさいネットは「手形・小切手の全面的な電子化」をテーマにしたセミナーを継続して開催しています。

手形を使ってきた業界では、でんさいへの切り替えが現実の課題になっています。

切り替えで変わること内容
印紙税手形には課税されるが、でんさいには課税されない
保管と郵送現物がないため、保管・郵送・紛失の手間とリスクがなくなる
取立支払期日に口座へ自動入金されるので、取立依頼が不要
資金化必要な額だけ分割して譲渡・割引できる

でんさいネットには、インターネットバンキングが不要な「でんさいライト」というサービスも用意されています。

導入を検討する段階なら、参加金融機関の一覧と、取引先の利用状況を調べるところから始めてください。

どちらを使うかの判断

状況向いている手段
売掛先がでんさいに参加していて、日数に余裕があるでんさいの割引。コストが低い
売掛先がでんさいを使っていないファクタリング。相手の参加が要らない
今週中に現金が必要ファクタリング。最短即日
売掛先の倒産リスクを自社で負いたくない償還請求権なしのファクタリング
自社の決算が厳しく、金融機関の審査が通りにくいファクタリング。審査の中心が売掛先に移る
手形の事務負担を減らしたいでんさいへの切り替えを検討する

でんさいを受け取ったあと、金融機関の割引ではなく期日前に現金化したい場合は、電子記録債権を扱うファクタリング会社に相談する方法もあります。

会社手数料スピード取引形態
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いずれも各社公式サイトの表記(2026年10月時点)です。

電子記録債権を買い取れるかは会社によって分かれるので、申し込む前に確認してください。

カリオ
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でんさいが使える関係なら、まず取引金融機関に割引の条件を聞いてください。コストはそちらが低くなります。急ぐ月だけファクタリングで補う形が、いちばん負担が軽く済みます。

よくある質問

Q
でんさいは自社だけで始められますか?
A
始められません。支払う側と受け取る側の双方がでんさいネットに参加している必要があります。契約は利用する金融機関で申し込みます。でんさいネットには参加金融機関の一覧と、取引先の利用状況を検索するサービスがあるので、先に調べてください。
Q
でんさいに印紙税はかかりますか?
A
かかりません。でんさいネットは、手形と異なり印紙税は課税されず、郵送コストも削減されると説明しています。手形の振出しや郵送、保管にかかっていた事務も減ります。
Q
でんさいは一部だけ現金化できますか?
A
できます。でんさいネットは、分割して譲渡や割引することで債権を資金繰りのために有効活用できると案内しています。手形は額面のまま扱うしかないため、必要な額だけ資金化できるのはでんさいの利点です。
Q
支払企業が倒産したら、でんさいの割引分はどうなりますか?
A
一般に、割引を受けた側が買い戻す定めになっているとされています。これはファクタリングの償還請求権なしの契約とは大きく違う点です。扱いは契約や金融機関によって異なるので、申し込む前に条件を確認してください。

まとめ

でんさいは手形や売掛債権に代わる決済の仕組みで、ファクタリングはその債権を売る方法です。

でんさいは印紙税がかからず、分割して譲渡・割引でき、支払期日に自動で入金されます。

ただし支払企業が倒産したときの責任は、でんさいの割引では割引を受けた側に残るのが一般的で、ここが償還請求権なしのファクタリングとの決定的な違いです。

相手がでんさいに参加していてコストを抑えたいなら金融機関の割引、相手が使っていない、または今週中に現金が要るならファクタリング、という順で考えてください。

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