「個人でもファクタリングは使えますか」という質問には、ひとことで答えられません。
個人事業主が自分の発行した請求書を売るのは、法人と同じ普通のファクタリングです。
一方で、会社員が給料を前借りする「給与ファクタリング」は、金融庁がヤミ金融の手口として名指しで注意喚起しているもので、まったく別の話になります。
このページでは、個人が関わる3つのパターンを分けて、どれが使えてどれが危ないのかを整理しました。
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「個人のファクタリング」は3つに分かれる

| パターン | 誰が何を売るか | 扱い |
|---|---|---|
| 個人事業主・フリーランスが使う | 自分が発行した請求書(売掛債権)を売る | 普通のファクタリング。対応している会社が複数ある |
| 売掛先が個人 | 請求先が法人ではなく個人の請求書を売る | 会社によって対応が分かれる。断られることが多い |
| 会社員が給料を売る | 勤務先からの給料を受け取る権利を売る | 給与ファクタリング。貸金業に該当し、無登録業者はヤミ金融 |
同じ「個人」という言葉でも、売るものが事業の売掛債権か、給料かで法律上の扱いが変わります。
ここを混ぜたまま調べると、検索で出てくる業者の中にヤミ金融が混ざってしまいます。

見分け方は単純で、「あなたが事業として請求書を出しているか」です。出していれば事業者向けのファクタリング、出していなければ対象外だと考えてください。
給料を売る「給与ファクタリング」は使ってはいけない

金融庁は、ファクタリングの注意喚起ページで次のように書いています。
給料を受け取る権利を買い取るという形をとっていても、実態は個人への貸付けです。
貸金業を営むには財務局か都道府県の登録が必要で、無登録の営業は刑事罰の対象になります。
個人事業主・フリーランスが使えるサービス
事業として請求書を出しているなら、少額から対応しているサービスがあります。
各社が公式サイトに掲げている条件は次のとおりです。
| サービス | 手数料 | 買取額 | スピード | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ラボル | 一律10%(振込手数料なし) | 1万円〜 | 審査後 最短30分 | 2者間。決算書・契約書は原則不要。信用情報に照会しない独自審査 |
| ペイトナー | 一律10% | 1万円〜 | 最短即日 | 支払期日まで70日以内の請求書が対象。個人の取引先でも可 |
| QuQuMo | 1%〜 | 上限なし | 最速2時間 | 請求書と通帳の2点。債権譲渡登記の設定不要 |
| ベストファクター | 2%〜 | 要相談 | 最短即日 | 償還請求権なしの完全買取。2社間と3社間の両方に対応 |
いずれも各社公式サイトの表記(2026年10月時点)です。
ラボルは株式会社ラボル(東証プライム上場の株式会社セレスの子会社、2021年12月設立)が運営し、審査が完了すれば24時間365日振り込まれます。
ただし審査そのものを24時間365日おこなっているわけではないので、深夜に申し込んでも審査は翌営業時間からです。

売掛先が個人の請求書は買ってもらえるのか
ここは会社によってはっきり分かれます。
ビートレーディングは公式サイトで、売掛先が個人事業主の売掛金は買い取らないと明記しています。
一方、ペイトナーは個人間の取引でも利用できると公式のよくある質問で答えており、ラボルも取引先が個人のみの場合を想定した診断を用意しています。
- 申し込む前に「売掛先が個人でも買い取れるか」を問い合わせる
- 買い取れる場合でも、法人の売掛先より手数料が高くなることが多い
- 支払いの実績が通帳で追えるか。初回の取引先は確認に時間がかかる
売掛先が個人だと断られやすいのは、相手の支払能力を確認する手段が法人より限られるからです。
登記も決算公告もないため、ファクタリング会社から見ると回収できるかどうかの判断材料が少なくなります。
個人で申し込むときに必要な書類
法人と違い、登記簿謄本や決算書の代わりになる書類を求められます。
- 買い取ってもらう請求書(売掛先、金額、入金予定日が読み取れるもの)
- 入金口座の入出金明細(通帳のコピーかネットバンクのPDF)
- 顔写真付きの本人確認書類
- 確定申告書の控え(開業したばかりなら開業届)
ラボルとペイトナーは、初回に本人確認書類、以降は請求書と入出金明細という最小限の構成です。
一方、金額が大きくなる会社では、基本取引契約書や納税証明書の提出を求められることがあります。
開業してまだ確定申告をしていない場合でも、開業届と取引先との契約書があれば相談を受け付ける会社があります。


事業用の口座を分けておくと、入出金明細がそのまま売掛先からの入金実績の証明になります。生活費と混ざった口座だと、どれが売上か説明する手間が増えて審査が長引きます。



契約書で確かめる3点
個人で申し込むときほど、契約の中身を読む時間を確保してください。
金融庁は、契約書に債権譲渡(売買)と書いてあっても、実態が貸付けと同じなら貸金業に該当するおそれがあると説明しています。
| 確認する点 | 危ないサイン |
|---|---|
| 買い戻しの定め | 売掛先が払わなければ自分が債権を買い戻すことになっている |
| 支払いの肩代わり | 回収できなかったとき、自分の資金で業者に支払う義務がある |
| 買取額と額面の差 | 買取代金が債権額に比べて著しく低い |
裁判でも、不払いのリスクが業者に移っているか、手数料が担保目的を推認させるほど大きくないかが判断の軸になっています。
東京地裁令和2年9月18日判決と東京高裁令和4年6月15日判決は、償還請求権がなく手数料も過大でないことから貸金業法の適用を否定しました。
逆に大阪地裁平成29年3月3日判決は、業者が不払いリスクをほとんど負っておらず、債権額と無関係に金銭がやり取りされていたことから、金銭消費貸借契約に準じるものと判断しています。



よくある質問
まとめ
個人事業主やフリーランスが自分の請求書を売るファクタリングは、1万円から対応するサービスがあり、普通に利用できます。
売掛先が個人の請求書は会社によって対応が分かれるので、申し込む前に可否を聞いてください。
会社員が給料を売る給与ファクタリングは別物で、金融庁がヤミ金融として注意喚起している手口です。
契約前に、買い戻しの定め、支払いの肩代わり、買取額と額面の差という3点だけは書面で確かめてください。



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